2024/05/17 機械メーカ
工作機械自体がややニッチな業界ではありますが、その中でも板金機械は更にニッチです。規模としては工作機械全体の10%くらいでしょうか?板金とはいわゆる鉄板を切ったり曲げたりくっつけたりするような加工です
そんなニッチな業界ですが、1社世界を代表する巨大メーカがあります。そう、アマダです。国内の板金機械全体の中でのシェアは7-8割(!)。その中でも得意とされるプレスブレーキ、タレットパンチ、レーザパンチ複合機は下手すると9割くらいあるんじゃないでしょうか?ちなみについ先日24年3月期の決算発表がありましたが、売上高はついに史上最高の4000億円超え。
もちろん円安の影響も大きいのでしょうが、それを除いても5%以上成長しています。
ちなみに世界一の板金機械メーカはトルンプですが、トルンプって最近は板金以外の事業に注力しているイメージありますよね。一方でアマダも研削盤とかバンドソーとか別事業もありますが、基本的にはほぼ純粋な板金メーカです。
この成長を支えているのは、ハイブランド化戦略の成功による単価の向上と、自動化戦略の成功だと思います。例えば高出力のファイバーレーザ加工機って平気で1億円超えるみたいです。レーザパンチ複合機に自動化オプションつけると平気で2億円を超えるみたいです。普通のマシニングとか旋盤で億単位の機械なんてなかなか無いのに対して、なぜかこの板金業界では、中小企業のみなさんがバンバンそんな高額な機械を導入しているみたいです。板金ってそんなに儲かるんですかね。
あと、特に日本ではアマダに対抗できるような競合があまり見当たりません。昔は、アマダが強いのは営業力であって、製品力はそこそこ、という風評があったらしいのですが、今はそんな事は無いです。高品質と言えばトルンプのイメージが強いですが、円安のせいでただでさえ高い機械が更に高くなっているはずです。そもそもトルンプジャパンの板金事業部ってやる気があるのかどうか。。。特にCO2レーザからファイバーレーザに変わった事で、レーザ加工機における品質面の差がなくなり、それよりも使い勝手とかノウハウとかサービス力が重視されるようになりました。そうなると最強アマダを選ばない理由って無いですよね。強いです。かないません。
ただ、個人的に一つだけ改善してほしいことが、、、機械とロゴのデザインです。やっぱりトルンプとかバイストロニックとかと比較すると、なんか、、、ぜひお願いします。
そんなアマダに不安要素が無いかというとそんな事はなくて、それは新興国メーカとの戦いです。特に海外においては安価な中国製レーザが席巻していると思います(すみません、想像です)。だって値段が半分どころか1/3 以下なら、そっちを買う人が多いでしょう。日本市場はまだまだ高級志向、サービス重視志向なのでアマダが強いですが、主戦場である海外ではまさに「今そこにある危機」でしょう。ちなみにアマダの売上の7割は海外だそうです。
■関連コラム