2024/07/14 機械商社
日本の工作機械の販売、特に中小企業の製造業への販売網ってこれまでほとんど変わってないように感じます。アマダみたいに直販にこだわるメーカも一部ありますが、大部分のメーカの機械は、機械商社を介して販売されています。商流はメーカの方針によって様々ですが、一番多いのは、メーカ→卸商社→販売店→エンドユーザ、ではないでしょうか?メーカによっては、卸商社を介さず、直接販売店に販売するとこもあります。また、卸商社も、販売店に卸すだけでなく、自社でも直接エンドユーザに販売します(最近はこのケースは結構増えているような気がします)
世の中のほかの業界では、商社不要論があったり、ネットを活用した新たな販売網が生まれていますが、工作機械の世界は良くも悪くも、旧態依然とした方法が継承されています。これってなぜなんでしょうか?理由はたくさんあると思います
①機械メーカ側が商社の存在を重要視しており、ユーザが直接買いたくても断る
②機械メーカがユーザや販売店に直接売りたくても、与信的な問題でできない
③ユーザが販売店を信用しており、そこから買いたい
④ユーザと販売店があやしいお金のやりとりをしており、抜けられない
⑤ただ、なんとなく昔からの慣習で続いているだけ
意外に、この⑤が結構多いのではないでしょうか?もちろん、ユーザの仕事内容をちゃんと理解して、そのユーザに最も適した機械を選定して、メーカとも折衝して、さらに工具や加工技術まで提供して、ユーザの成長に貢献している、という優秀な商社営業マンもいると思いますが、まれでしょう。そもそもそんな優秀な営業マンがたくさん残っているとは思えません。
今まで通り、なんとなく過去の商習慣の通りに、これまで買っていたメーカの機械を、これまで通りの機械商から買う、というユーザも多いとは思います。しかし、ユーザだって熾烈な競争の中、日々改善が求められれます。代替りもあって、昔からのお付き合いも薄れていくかもしれません。昔ほど、酒とゴルフでボンドのようにつながるケースも少ないでしょう。DMG森精機あたりが、これまで商社経由で販売していた方針を変えて直販比率をどんどん増やしていくと、業界全体の常識も変わっていくのは、不可避ではないでしょうか?
そんな中、小規模な機械商が生き残って、成長していくには何が必要なのでしょうか?
もちろん、工作機械や加工技術を勉強して、知識を習得してよりよい提案をしていくのは重要です。さらに+αとして、補助金、各種助成制度、海外ビジネスの提案、AI、自動化など、過去の先輩がたがしなかったような提案をすることは、もはや必須条件だと思います。今時、機械営業なのに「補助金のことはよく分かりません」なんて言っていては存在意義を疑われるのでは?と思います。
けど、何が一番大事なのかって、結局は人間力(=信頼)ですよね。ユーザから「この人から買っておけば大丈夫」、メーカからは「この人に売ってほしい」と思われるような存在になりたいですよね。そんなのは生まれつきの人たらししかなれないよ、と思うかもしれません。たしかにそれも一理あります。けど、真面目に、真摯に、周りの人のことを考えながら努力を続ければ、どんな人であっても、かかる時間は個人差があるでしょうが、信頼は勝ち得るものだと思います。特にこの業界においては、機械トラブルは絶対にさけては通れないものです、そんなときこそ、その人の本当の心と能力がさらけ出される場になります。ピンチはチャンス、トラブルの時こそ、集中して全力を出しましょう!